お酒の話でいささか恐縮だが、日本国内におけるビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)のシェア争いは、この20年近く混迷を極めている。
バブル前夜、世の中でビールと言えばキリンかサッポロかという二強だった。しかし1987年、業界下位のアサヒビールが、スーパードライを発売すると一気に首位へ駆け上る。その後各社発泡酒や第三のビールを次々にヒットさせるが、スーパードライは単一ブランドの年間売り上げで、すべてのビール類の中で今日でもトップの座を譲っていない。
しかしアサヒビールは、以来約30年の間、皮肉なことにこのスーパードライのヒットにより長く苦悩を強いられることになる。スーパードライの一極集中が続き、それに続くヒット商品を出せずにいる。しかもトップとはいえ出荷数の減少が止まらない。
時代は若者のビール離れに加え、ハイボールやワインなどの洋酒類に押されて、ビール人気は下降気味。他社はそれぞれにビール以外に強みを持つ。このままスーパードライに依存していればアサヒビールは早晩潰れかねない。
なぜ、アサヒビールはトップシェアに君臨できたのか
