出張先でよく行く定食屋。夫婦二人で切り盛りをする個人のお店。カウンターとその後ろの座敷に4テーブルほど、昼時ともなると近隣の工場からのお客さんで混雑する。
私は昼時の混雑を避け、午後1時過ぎに伺うことが多い。工場のお客さんたちもひと段落するこの時間、いつもは調理場の夫婦の日常会話が耳に心地よい。どこにでもある何気ない日常が聞こえてくる典型的な街の定食屋だ。
その典型的な定食屋でも、時として眉をひそめる瞬間もある。それはこの夫婦の会話にある。いつもはぶっきらぼうだが的確な指示と時々笑い混じりの言葉を送るご主人に、愛想の良い奥さんがこちらも時々たしなめるような口調で言葉を返す。これも何気ない日常の風景。しかし少し店内が立て込んだ時に、お客さんの注文がバラバラだったりすると、ご主人の指示がとたんの冷たくなり、最後は罵声交じりになったりもする。
なぜ、定食屋の夫婦の会話は気にならないのか
