茨城県のつくば市郊外、繁華街でも、観光客が集まる場所でもない、そんな何の変哲もない住宅地に、1軒のイタリアンレストランがある。そこには、もうすぐ開店4周年というポスターが飾られている。
そこでこの店のオーナーシェフに何の気なしにいろんな話を聞いてみた。その中でお客様に対する考え方について思わぬ答えが返ってきたのでご紹介しておく。
彼はそれまで大手アパレル会社に勤めていて、飲食店の経営はこの店が初めてという。シェフとして調理法を誰かに教えてもらったのは2時間、しかもパスタを茹でるポイントと具の合わせ方だけ。あとは無限の食材を組み合わせる楽しさだけだという。
アパレル会社時代の彼は、ショップの店長を任されていた。そこで当時としてはまだ珍しい、お客様とコミュニケーションを大切にし、その中から必要なアイテムを販売するという手法を取っていた。そのやり方が、当時の商品ありきで販売をする会社のやり方と食い違い、飲食事業部に配置転換されてしまう。体の良い左遷。今では当たり前だが時代が15年早かったと彼は当時を振り返る。