東京のある美術館では、現在、アメリカの絵本作家の企画展が開催されている。
美術館のイメージはというと、静かな館内で絵画や彫刻などの作品と向き合ってじっくり眺め様々な思いを巡らせる、そんな感じだろうか。多くの美術館では静寂を求めるので、自ずと小学生以下入場お断りや、未就学児は入場不可といった対応が一般的だ。
そんな中この企画展は絵本作家の企画展ということもあり、小学生料金の設定があるほか、ベビーカーでの入場も可能になっている。コンセプトが「すべての子どもたちと、かつて子どもだったおとなたちへ」なので、このような対応になっているのだろう。
しかし行ってみると普段の美術館では当たり前だが、とても子どもに向けた展示ではないことがわかる。
未就学児と思われる子どもがじっくり作品を見入る親に向かって、抱っこをせがんでいる。子どもが見る低い位置から作品を眺めると、作品全体が見えない。離れて全体を見ることはできるが、そうすると作品のスケール感が子どもには伝わらない。
普段の美術館は先にも記したように未就学児はお断りというところが多い。
なぜ、美術館は子どもが苦手なのか
