長野県に高い顧客満足を誇るタクシー会社がある。長野市の中央タクシーがそれだ。
いま時は、多くのタクシー会社が業績の悪化に苦しんでいる。そんな業界にあって、この中央タクシーは、都市部の大手タクシー会社以上に利益率が良く、社員の離職率は10年以上にわたりほぼ0%、地元の人々から絶大な支持を得ているのだと聞く。
中央タクシーは何が他社と違うのか。いろいろな経営理念があるが、根本的に、損得ではなく、善悪で会社の経営方針を決めているという社長の言葉がすべてだと感じる。
1998年長野オリンピックが開催され、長野市周辺では各種目会場へのメディアの交通手段として、町中のタクシー会社が報道各社と専属契約を交わし、報道陣の移動に対応すべく体制を整えた。
しかし、オリンピック期間中、普段病院や施設に行くお年寄りはどうすればよいのか…というドライバーのひと言をきっかけに、こんな時こそ、いつも利用していただく地元のお客様を優先すべきではないのか、という考えのもと、一度は交わした報道各社との契約をキャンセルし、違約金を払い、地元のお客様第一の商売に徹したという。以来、中央タクシーは「地元のお客様のためのタクシー会社」を実践する。
もうひとつこのタクシー会社には、普通のタクシー会社とは異なる点がある。
なぜ、あのタクシー会社は地元で支持され続けるのか
