生命保険のトップセールスが同業のセールス対象のセミナー講師を務めたときの話。
彼はそのセミナーで、自らのセールスの秘訣をライバルともいえる他のセールスに惜しげもなくすべて教えている。そのことを、雑誌の取材で訪れた記者の指摘に対し、彼の発した答えが忘れられない。
「他人の成功事例は、100人の受講生が聞いても、それを自らもやり始めるのは5分の1、いいところ20人しか取り掛からない。あとの人たちはやりたくても、時間がなかったなど出来ない理由を付けてやらない。さらにやり始めた20人の中で、上手くいく人の割合はその中のさらに5分に1程度になる。つまり100人が成功の秘訣を聞いても4人ほどしか成功にたどり着かない。だから自分の地位が落ちることなど気にしない」と。
彼は、成功体験を独り占めにせず、ひと握りの人でも上手くいった方が、業界の財産になると判断して、定期的にセミナーを開催するのだと言っていた。
セールスの世界では、図抜けたスキルを先人に学び習得しようとする人は多い。しかし、それを活用して実績を上げていく人はどんな分野でも残念ながら多くない。
企業の研修や勉強会でも同じ。様々な知識を多くの人が実践し、
なぜ、セミナー講師は秘策を教えてしまうのか
