なぜ、優れた料理人の出勤時間は早いのか

 東京の新橋駅前にある、香川県と愛媛県のアンテナショップ、そこに併設する飲食店の話。売りは香川の讃岐うどんと愛媛の鯛めしなどの郷土料理。
 この二つのメイン料理に共通するのは、地元の料理を忠実に美味しく提供するには、下準備を入念に行う必要があるということだそうだ。一般的に私たちが目にするカウンターの向こう側での調理は、最終段階で全体のプロセスの2割ほどでしかないという。要は8割方が下準備でありその準備の段階で味の善し悪しが決まるのだと聞いた。
 例えばうどんであれば材料の小麦粉を室温や湿度など最適なタイミングで最適な分量を調合し、季節や天候に合わせて練り上げる。コシを強くするための足踏み作業も行う。その後で生地を延ばす。この作業はアンテナショップであっても、地元の店舗と全く同じだそうだ。要は開店時間のはるか前から行われる準備が大変重要なのだ。
 どこかで聞いた話ではないか。私は若手中心の営業スタッフ研修の際、時間の使い方や営業活動における準備の大切さを研修のどこかで必ず織り込んで伝えている。営業の仕事はどんな種類の仕事でも「段取り8分(はちぶ)」だと。