作家であり、大臣や都知事などを経験した政治家としても知られる石原慎太郎氏、彼の最近の著書に、田中角栄元総理を書いた『天才』がある。
その中で田中元総理が政界から身を引く覚悟を決めた際、「賢者は聞き、愚者は語る」という言葉を引用し、これからは賢者となって何でも聞いてやると言ったそうだ。奇しくもその翌日、脳梗塞に倒れ言葉を発することが困難になる。何とも数奇な運命だ。
確かに総理大臣を経験するほどの大物政治家ともなると、一方的に聞くばかりというのも心許ない。切れ者政治家であるから、その一言一句に注目が集まるのもよくわかる。
しかし世の中の様々な販売の場面は政治の世界とは違う。例えばいま時、百貨店へ春物のジャケットを買いに行く。するとすかさず店員が近寄ってきて、こちらの素材は麻が混じっているので軽くて涼しく…良かったらサイズをお出しします…と。