なぜ、家康は歴史のヒーローになれたのか

 この夏、是非観たい映画がある。司馬遼太郎原作の『関ケ原』だ。
 実はこの作品、早い話が関ケ原の戦いの話。学校で習う関ケ原の戦いは、徳川家康が東軍の大将として戦い勝利。その後、征夷大将軍に任命され江戸時代が始まる。家康はその創始者でもあり、歴史上のヒーローとしても人気が高い。
 もちろん全国の武将をまとめる知力や胆力があり、知恵を尽くして半日にして合戦に勝った事実を考えれば、そのリーダーシップは強大であったことは間違いない。しかしそれは、歴史を結果論として捉えた見方であると小説『関ケ原』は教えてくれる。小説『関ケ原』は関ケ原の戦いを、敗れた西軍大将の石田三成の目線で書いたもの。
 結果論としての歴史では、石田三成が謀反を起こしたように扱われる。関ヶ原で勝った家康がその後幕府を興しているのだから、まさにその通りだ。
 しかし史実は、関ケ原の直前に全国を統一したのは豊臣秀吉だ。秀吉の死後、家臣が豊臣家を支えて豊臣幕府を確かなものにするのが当然だった。その考えをまっすぐ受け止めたのが石田三成であり、