なぜ、私はスーパーで納豆も売れたのか

 10年ほど前、私はあるビジネス誌で、「ホンダの元トップセールスは納豆も売れるのか」という実験ルポを行った。仰々しいタイトルだが記者の方の依頼なので仕方がない。
 かくして私は、平日の昼下がり、郊外のスーパーマーケットで、某食品メーカーから新たに発売された「納豆」を店頭販売することになった。
 果たして納豆は…、これが面白いように売れた。同行し奥のオフィスから時々様子を見に来る食品メーカーのマネジャーは、普段は1日で良くてもひとケース(12パック)売れるかどうか、それを2時間足らずで50パック以上売れていると驚いていただいたほど。
 なぜ、私がそんなに売りまくったのか。試食販売は一切なし、ただただ自分で考えた仮説を基に、食品売り場の前を通るお客様に声を掛けただけ。