なぜ、老舗は昔ながらの味を守るのか

 お盆で帰省された方も多いことだろう。私は実家に帰る際に、昔ながらの和菓子屋に立ち寄ることが多い。店の間口は二間ほど、何の変哲もない昔ながらの小さな和菓子屋。
 売っているものは看板商品の豆大福と、季節に合わせた商品が数種類、いま時だと水ようかんだが、春先から初夏にかけてはさくら餅やかしわ餅、雑誌を飾るような派手な変わり種商品が店先に並ぶことはない。
 それでもこの店、私が知った昭和の時代から、長蛇とは言わないが日々行列が絶えない。その光景に興味を持ち入ったのが、私がその店を訪れたきっかけだ。今では実家で暮らす高齢の母親も、私が買って帰るこの店の豆大福を楽しみにしている。