なぜ、自動車業界では慢性的に時間が足りないのか

 運送業界ではドライバーの違法な長時間労働が社会問題になっている。少し前のヤマト運輸の一件でもわかる通り、仕事量が増えてもスタッフの確保が難しい。
 「とにかく時間が足りない。やることがたくさんありすぎて時間内に終わらない。」
 販売の最前線である自動車販売店でも、運送業界同様、こんな声を至る所で耳にする。元来、来店型店舗とは、整備来場のお客様との雑談の中から日常生活の変化を発見し、クルマの使用状況の変化によるご不便を把握して代替提案を行うのが本質。しかしそれが忙しくてできないというのは、営業マンの最低限の仕事ができていないということだ。
 どこのブランドでもひと昔前までは、営業マンは足で顧客情報を集め、その結果を紙に記した。活動の日報も顧客カルテや顧客台帳も、加えて注文書から社内の経理伝票など一つひとつ紙に数字を記入したものだ。いま時それらはすべて顧客管理システムに入力、以前とは比べ物にならないほど簡単に処理ができる。