なぜ、和食店の店員は「温かいお茶」と強調するのか

飲食店で食事をするとセルフサービスのお店でない限り、席に着くと飲み物を出してくれる。一年で一番寒くなるこの時期、特に和食のお店では温かいお茶を出す店が多い。
 先日、よくある和食のチェーン店に入ったのだが「温かいお茶をお持ちいたしました」と一声添えてお茶を出していただいた。何気ない一言だが、外は寒波による寒空ということもあり、水を出されるよりも何倍もありがたい思いで、温かいお茶…というひとことに妙に嬉しくなって料理をオーダーした。
 程なくして料理が運ばれてくる。何の変哲もない定食だが、味噌汁がとても熱くなっているので気を付けて、と言われた。熱々の味噌汁ね、この時期らしいではないか、と。
 しかし考えてみれば、温かいお茶はこの時期だから温かくて当たり前。味噌汁もそもそも普通は熱々だ。それをあえて温かいお茶、熱い味噌汁と表現すると、普通よりも二割増しくらいの美味しさを想像してしまうから不思議なものだ。
 こんな風に、冷静に物事を解明してしまうと元も子もないが、お客様がある商品を目の前にしたときに、その商品をどのように表現するかで、そのお客様に伝わるイメージは少なからず変わる。牛肉などは各地のブランド牛を用いることで、よくわからないけど美味しそうというイメージを出している。たまご料理も〇〇産にこだわった新鮮たまご、などと強調することにより、イメージと価格アップを図っている。