(無料)なぜ、彼は買う気を失っていったのか

 先日記したマンション購入を検討する友人、その続報に思い当たることがあり記す。
 販売員の説明がお客さま目線でないことに憤慨しつつも、この先はリフォームスタッフが担当だし、販売員はここまでの付き合いと割り切って購入を決断。その後はリフォームスタッフと現地で打合せを行ったとのこと。しかし事件はそこで発生した。
 今度はそのリフォームのスタッフ。販売担当者とは違い、丁寧にわかりやすく説明をするまでは良かったが、こちらのやりたいことを言ってリフォームの提案を求めるとそのほとんどの場面で「それはできない」とか「一般的にそんなことする人はいない」など。さらに出来そうな話でも「それはやればできないことはないけど、本当にやるんですか?」といかにも難しいことは避けたい気持ちが見え見え。これに彼は再び憤る。
 少々手のかかることを言うと、二言目にはできないとか難しいとか否定する言葉が続き、まるで売りたくないような口ぶりだという。予算オーバーを気にしているためか、こちらの希望を全否定するような会話は、人生の中での一大イベントになろう買い物を案内する姿勢とは到底思えないと語気を強める。
 そう言えば私が知る自動車販売店でも同じようなことで幹部が嘆いていた。
 彼の会社の中堅営業マンは、クルマにも詳しくまじめで白黒つけるタイプ。お客さまへの説明も細かく丁寧なのだが、接客面でひとつだけ大きな欠点があるという。
 お客さまが希望する装備がオプションでも取り付けられない場合など、付かない事実を勝ち誇ったように強調する癖がある。もちろんできないことはできないと言うことは必要だ。しかしお客さまの希望を叶えるための代替案や、どうすればお客さまの願いに近づくのかなど提案が出てこない、とにかくダメはダメとハッキリ言い切って終わってしまう。しかも出来ないことが何度か続くことも…。
 お客さまはクルマという商品に自分たちの想いや時には夢を重ね合わせて購入する。だから私たちはその夢を叶えるお手伝いをしているとも言える。それを「ダメです」「できません」だけでは夢も希望もあったものではない。これでは当然のことながら買っていただけるわけはない。こんなことが多々あるという。
 私たちはクルマの販売によりお客さまの想いを実現し、お客さまに高い満足を提供する。クルマの購入が不可能や否定の産物では、決して満足にはたどり着けない。
 もし思い当たることがあるならば、こうすればお客さまの想いが叶うという形に言い方を変えてみることだ。