マラソンの季節である。実は私もランナーの端くれなのだが、いま時のマラソンシューズの性能には本当に驚かされる。数年前は競泳の水着がそうであったように、ある特定のメーカーの特定のシューズを使うとそれなりに記録が良くなると囁かれていたりする。
パラ競技も同様で、車いすの進化は思いのほか凄まじい。車いすの性能が勝敗を決める競技も多い。マラソンシューズも競技用車いすの開発も、その過程でとても大切なのがデータを集めること。新しいものを開発しデータを取り、検証。改善可能な点はさらに手を加えてもう一度データを取って検証する。
両者に共通するのは軽さと強度、それと競技者が使用した際の使い勝手だそうだ。
シューズならランナーが走っていてすぐに靴ずれを起こさないか、競技用車いすなら瞬時に方向を変えた際にも安定しているかなどがそれにあたる。それらは理論だけでは推し量れないことが多く、実際に何度も競技者が使用してその都度データを収集する。その中でベストな設定をはじき出しその数値に近づけて完成する。
私たちの仕事を考えてみたい。営業活動でも整備売上げを見ても、常に数字(データ)で管理している。当然各店舗各営業マン各工場に計画が立てられる。達成に向けた活動の手法やそもそもの考え方で、結果に大きな差を生むことになる。
例えば、販売の現場を見ると、言われた数字を何の疑いもなく粛々と追いかける人を見かける。往々にして真面目なタイプ。それはそれで間違ってはいない。しかしその人の何らかの意思、活動に込められた気持ちや思い、さらに言えばその先の姿が見いだせないことが多分にある。常にただ漫然と言われたことをやるだけ…。
本来、営業マンであれば自分の活動を数値化して何ができていて何ができていないのか、マネジャーなら誰が何をどれだけできていて、何ができていないのかを把握し適切にアドバイスしなければいけない。しかし数値化していないと正確な活動を計り、あるべき姿や周囲のメンバーと比較することができない。何となくできている気になり満足していたり、スマートに仕事をする部下を過信していたり、結果的にこのような営業マンや店舗ではなぜ実績が上がらないのか首をひねることが少なくない。
実績に結びつく活動を理解し、その活動を営業マン自身もマネジャーも数値化しなければ計画達成は程遠い。しかしその結びつきさえわかればあとは活動の数字を上るか精度を上げるかすれば良い。その時それぞれが何をすべきかが明確になるはずだ。