なぜ、繁盛店のマスターは人気があるのか

 馴染みの店を持ったとこがない私が、ここ数年自宅近くの焼鳥屋に通っている。
 この馴染みの焼鳥屋、カウンター15席のみの店でいつも満席に近い。カウンターの中ではマスターが1人で串打ちから焼きまでをこなす。しかもこのマスターは常連客が一度話をしたことをよく覚えていて、次に店に顔を出すと、「先日のあれ、どうなりました?」という感じで一瞬にして時間を巻き戻してくれる。
 しかしそれは自分だけではなく、さっきまでここで私と話していたかと思うと、今度は向こうのお客と違う会話に花を咲かせている。こう書くとなんだか、ないがしろにされているように感じる人もいるかもしれないが、しばらくするとまたこちらに来て先ほどの話の続きが始まる。だからたとえ1人で飲んでいても孤独を感じない。むしろみんなにもマスターとの話を楽しんでもらいたいと心から思う。
 一方で熱心に仕事の話をする2人組などには、目配せはするが強引に会話に加わることはない。一段落ついたところで声をかける。その「間」の取り方が絶妙。
 ちなみにこのお店、店のどこにも著名人の色紙など飾っていないが、