自粛期間中に、作家の五木寛之さんの著書『大河の一滴』が話題になった。およそ30年前の作品だが、疫病のことに触れていることから、この時期にリバイバルし私も読んでみることにした。
不勉強な私は、小説だと思って読み始めたのだが、実は随筆(エッセイ)で、著者が経験したことや見聞きしたとこなどが書かれている。特に絶望に直面したときの行動や思考が秀逸で、そこから立ち上がるための勇気や希望が持てるような内容だ。
読み進める中で、同書に書かれているある一文に目が止まった。それは以前著者が先日亡くなられたC・W・ニコルさんから聞いた話として紹介した一文だ。
ニコルさんによると、南極などの極地でテントを張り、何日も風雨に耐え我慢を強いられる生活をする状況で、どういうタイプの人たちが辛抱強く最後まで自分を失わずに耐え抜けたかというと、それは意外にも頑健な体の男たちではなかったという。
南極のテント生活では無精になり体裁をかまう必要もない、身だしなみなど考えなくても良い。だが、
なぜ、礼儀正しい人が逆境で生き残るのか
