讃岐うどんのチェーン店としておなじみの「丸亀製麺」。2000年に1号店をオープンさせて以来、全国各地に店舗を展開し、今では業界最大手に躍進する。
だがここ最近は低迷が続いた。一昨年前半には深刻な売り上げ低迷の危機に見舞われ、外部の敏腕マーケッターと協業で、売り上げ回復の事業戦略を策定し実施した。
「丸亀製麺」としての魅力を再構築し、原点を取り戻すこと、それと感動体験を店舗で実現することを掲げた。要は出店当初の思いを取り戻し、自分たちの「売り」をもう一度アピールすることだ。それにより、うどんファンの来店頻度を上げることと、うどんは自宅で食べるという人を呼び込むことを目標とする。いたってシンプルだ。
自分たちの「売り」は、自分たちのうどんはすべて各店舗で打ち、その場で茹でるこだわりだ。それをもっとアピールする。そこで起こる感動こそが自分たちの原点で、それこそがブランドを作ると確信する。CMもその点をアピールする内容に変えた。
かくして売り上げは今や低迷前の水準に戻っている。やっていることはさほど変わりない。原点に返り、見せ方をシンプルにしただけだと敏腕マーケッターは言う。それだけのことを行うのに、多額の費用など掛かっていないと付け足す。
私たちも、時として奇をてらうがあまり、多くを発信し過ぎてメッセージがぼやけてしまうことがある。それよりも自分たちの商品がどんな点に長け、どんな人達に使ってほしいかをもっとシンプルに考え、シンプルにアピールするくらいでちょうど良い。
商品を多く揃えて様々な顧客ニーズに対応することは良いが、その前に、それ以上に顧客のニーズ、そのニーズが生まれる顧客のライフスタイルがわからなければ、どのクルマがお勧めなのか適切な提案のしようがない。だから顧客が先に自由に買い回る。
うどん店は、今の流行りはわかっても、様々な顧客の一人ひとりのニーズまでは把握しきれない。したがって様々なメニューを揃えることになる。敏腕マーケッターはメニューが多いと、時として顧客に苦痛を強いるとまで言っている。
私たちはその点、幸いにも既納客という顧客であればそのライフスタイルやニーズを把握できる仕組みもデータも持っている。今こそ顧客ニーズに照らし合わせた自分たちの強みを、最適な提案という形に変えて顧客のもとへ届けてほしい。
それが顧客の囲い込みを行う、私たちの商売の「原点」になるはずだ。
なぜ、有名うどん店はV字回復ができたのか(無料)
