なぜ、優秀な銀行員は顧客の異変に気付くのか

 住友銀行の元頭取、故・西川善文氏が生前遺した言葉を一冊にまとめた本を読んだ。その中に書かれた、西川氏が調査部だった頃に身に着けた仕事の心得が大変興味深い。
 周知の通り銀行は顧客から集めた「預金」に金利を付け、預金金利よりも高い金利を取って貸し付けを行う。ここで得られる利益が「利ザヤ」であり銀行収益の一部となる。
 大口取引を行う法人営業は、企業の求めに応じて資金を貸し付け、利息と共に回収するのが仕事。したがって、貸し付けの際に貸付先の企業が健全に事業を行っているか、または将来的に収益性が見込めるか審査を行う。与信だ。
 与信で問題なしとして多額の資金を貸し付けることが出来ても、数年にわたる付き合いの中で、貸付先企業の中には行き詰まる企業も出てくる。その時点で経営を立て直す様々な手を打ち復活する企業もあれば、上手く行かず廃業や倒産の憂き目にあう企業もある。もちろん貸付先企業が倒産すれば、銀行にとっても大きな負担を被ることになる。
 そんな企業の危うさをいち早く見抜くのは、