なぜ、食品工場での挨拶が清々しいのか

 先月のこと、知人が社長を務める食品工場に人材開発の話を伺いに行ってきた。オフィスだけでなく工場のラインもと勧められ、見せていただいたときのこと。
 オフィスの廊下ですれ違う社員の方はもちろんのこと、工場で働く人も誰一人の例外なく、皆元気な声で明るい挨拶をしてくれる。本当に皆一様に明るくて、とても清々しい気持ちにさせられた。
 営業マン時代も含めて、様々な生産工場にお邪魔してきたが、一般的に工場勤務の方々は、社外の訪問者が来ても軽く会釈をする程度という人がほとんどだ。
 営業職でもないし、ディーラーのようなお客さまがよく来る業種でもないので、むしろ一心不乱に黙々と作業を続けた方が、仕事の精度が上がって良いとも考えられる。
 とは言え、どんな職種であっても、明るく元気な挨拶が返ってくると嬉しい。頑固そうな職人が黙々と機械に向かう姿は、昭和版の物造りの姿だ。
 そもそも工場の人たちが、見学に訪れた人に冷たい対応をしていては、見学に訪れた人たちはその商品を好きになるだろうか。そう考えると、そこで働く人が間接的にその商品価値を上げ下げしていることにならないか。事実、私もその日、帰りがけに工場の直売会で様々な製品を買わせていただいたが、自宅で食べたその味が美味しく、後日同じ商品を求めて、取り扱いのあるスーパーまでクルマを走らせた。似たような味の商品はあるが、あの時彼らが作った商品の味が忘れられないのだ。
 このことは私たちにも言えることではないか。