なぜ、小売店は「ついで買い」を狙うのか

 以前大手ショッピングモールで店舗マネジャーの研修を行った。その際のポイントは、お客さま満足度を上げ、売上を上げられるスタッフを育成すること。
 お客さま満足については、どの業界でも同じ、基本をしっかりと行うということ。売上向上については、ショップごとに多少の違いがあるが、キャンペーンやセール、目玉商品の告知などを展開し、それを常に意識し販売に結び付けることだ。
 常に意識するとは、ちょうど良いタイミングで「ついで買い」を提案すること。
 店内の商品を見ているお客さまに声をかけるのは難しい。目当ての物を買っていただくだけでも難しいのに、キャンペーンなど、こちらの提案する商品を勝手にお勧めするとなると、ハードルはさらに上がる。
 しかし、何かしら購入を決意して会計に進むタイミングで、関連商品を勧めるのは案外やり易い。優れた販売員の方々は、提案しやすいその瞬間を逃さない。
 彼らはお客さまのちょうど良いタイミングを計りながら、「ついで買い」を提案する。 商品説明の際にお客さまから聞いた本音や何気ないヒトコトから、本心では欲しいと思われる商品を「ついでに」購入したらどうかと勧める。お客さまの意識でも、第三者から勧められると、それはわがままな自己欲求ではなく、購入を正当化するものとなって購入への障害がなくなり、購入する。だから客単価が跳ね上がる。
 自動車販売店でお客さまを観察すると、