なぜ、その町の電気店は生き残っているのか

 大都市でも地方都市でも、ターミナル駅の近くには大規模な家電量販店が並ぶ。そんな家電量販店隆盛のさなか、多くの昔ながらの町の電気店は廃業を余儀なくされる。
 しかし、東京の西、神奈川との境にある町の電気店は、周囲の数ある家電量販店にも負けず、固定客の心を掴み売り上げを伸ばす。しかも顧客満足度がべらぼうに高い。
 このお店はお得意様のお困りごと相談から、蛍光灯1本でも交換の依頼を受けるとお客さまのお宅へ急行する。そこでさりげなく他の電気製品のお困りごとや相談に乗り、お困りごと解決のために新しい商品を提案する。決してごり押しする訳はなく、あくまでも困っていることが解決する手段としてだ。
 この店ではお得意様を管理顧客化し担当営業を決めて管理する。そして今でも定期的に顧客の訪問活動を行っているという。もちろん、積極的に売り込むわけではない。あくまでも各家庭にある家電の様子を確認し、さらには家電だけに留まらず、障子の張替え作業や、頼まれれば庭の手入れの手伝いなどお困りごとの解決を行うためにだ。
 その中で自然とお客さまの方から何かしら家電の買い替え相談があり、そこで初めて店舗への来店を促す。昔ながらのお困りごと探しの提案営業だ。困っていたことを解決できるのだから、お客さまは購入の意思が高まりそれほど時間を要せず買っていく。
 提案営業は、自動車販売でも大きなテーマとなっている。