なぜ、生保のトップセールスは加入を勧めなかったのか

 私のよく知る生命保険のトップセールスは、保険の加入相談でお会いするお客さまでも、加入を勧めなかったことがあるという。そのお客さまは入社2年目の会社員の女性、一人暮らしを始めたことを機に、保険も自分で加入しようと考えたという。
 しかしなぜトップセールスの彼が、保険加入を望むお客さまに加入を勧めなかったのか。結論から言えば、数か月後に改めて彼女は彼から生命保険に加入したというが、その内容がポイントになる。彼女の申し出では、実家で暮らす親が困らないようにと、20代半ばの女性が掛ける金額としては多額の保険金を要望したのだという。ところが両親とも元気なのだから現実的にはそこまでの金額は不要と判断した彼は、その申し出を断り、適切な金額(要望からはかなり少額)の商品を提案、月々の保険料も社会人2年目の彼女でも負担にならない保険程度となった。
 要するに、お客さまの情報をしっかり聞き取り、何が必要で何が不要なのかを判断し、そのお客さまに最適な提案を行うことが、お客さまのためにもなると考えたわけだ。
 自動車販売店でも全く同じことが言える。クルマ選びに際し、