スーツを買いに行った。昨年もこんな話題でコラムを書いた。その時は販売員の的を射た最後のひと押しで、晴れて購入したという内容だったが、今年は逆。
夏のスーツは上着選びに気を遣う。生地が厚すぎると熱の放出が悪く、この上なく暑い。では生地は薄ければよいかと言えばそうではない。薄すぎる生地は光を通してしまい、透けてしまいがちになる。私のような仕事の場合、透け感があるのはいただけない。なんとも悩ましい。これが上着選びを難しくする最大の要因だ。
売り場でいくつかの商品を見比べる。実は私、自分の買い物の時は極めて無口になってしまう。今回も静かに二つの商品を並べて見比べていた。そこに販売員の女性が来て、各サイズが揃っているとか、それぞれの素材の特徴とか聞いてもいない説明を始める。
それどころか、こちらの希望や用途など何も聞かず、
なぜ、私は目当ての商品を買わなかったのか
