なぜ、町の運送店はトラックを24時間稼働できたのか

 以前、私がお世話になった運送店の話。数か所の営業所を持つその運送店は、主にスーパーの食品を工場から配送センターや店舗に運ぶ仕事が主流だった。
 スーパーの食品を扱うので365日稼働、社員は交代で休むが、トラックは同じルートを毎日走り続ける。コースにより稼働時間もまちまち。稼働時間が短いコースは、積み降ろしを含め6時間。長いコースだと積み降ろしの他に法律で定められた休憩時間(仮眠の時間)を含めて14時間、平均するとおよそ8時間から休憩含みで10時間といったところだ。
 そうなると、8時間の稼働時間のコースを1台のトラックを走らせて一仕事終え、次の出発時間まで16時間も空く。10時間稼働のコースでも次の出発まで14時間空く計算だ。
 その運送会社には、早朝にパンを運ぶコースもあれば、午後納豆を運ぶコースもある。パンを運ぶトラックは昼過ぎには営業所に戻り、納豆を運ぶトラックは深夜には戻る。
 そこで配車担当者は、この時間差に目を付け、この二つの仕事を1台のトラックでこなすことにした。もちろんドライバーは朝のドライバーと夜のドライバー別々。しかもどちらかをアルバイトで雇うことで2回分の仕事を1人半の経費で賄うことが出来た。