なぜ、美味い料理屋でも優劣が付くのか

 上手い料理屋は多い。しかし美味いだけで長く生き残れるほど飲食業は単純ではない。「あの店美味しかったのに突然閉店してしまった」など、よく聞く話。逆に緊急事態宣言中は長期休業を強いられながらも、宣言解除の後、日々満席を続ける店もある。どちらも美味いと評判の店、だが両者には味や値段以外にその差を分ける要素があった。
 例えば、普段は一本で出されるだし巻き卵を、コロナ禍の今、人数分に切り分けて提供する気遣い。大皿の料理は皿の上で人数分に分ける、それも新たな料理が出ると、その都度取り分ける箸を用意してくれる。当然、こういう店は普段から気配りに余念がない。
 一方で同じように美味いと評判の店でも、スタッフのやる気なのか気遣いなのか何かが足りないと、せっかくの上手い料理を台無しにしてしまうことがある。例えば、盛り付けが雑で、野菜が皿からこぼれ落ちていたり、料理のソースやたれが他の料理に混ざってしまっていたりなど。そんな料理が運ばれてきた時には、本当に残念に思うと共に、その店の行く末が心配になる。
 この差は、お金のかかることでも技術的に難しいことでもない。お客さまの満足度を考えた、ちょっとした気遣いにほかならない。
 自動車業界にも同じことが言える。