なぜ、高名な落語家は名を上げられたのか

 先日、あるテレビ番組で、落語家の立川談春の姿を見た。落語のことはよくわからないが、かねがね機会があれば一度高座での姿を見たいと思う落語家だ。
 その立川談春の著書『赤めだか』が自宅にある。インタビューでも語っていたが、『赤めだか』の中に印象深いことがいくつか書かれているので紹介したい。
 立川談春は、17歳で立川談志(故人)に師事し、紆余曲折の後、現在の地位に至る。その過程が実に興味深い。
 立川談志とは、自身の高座で落語をするのではなく、自らの考えを小噺風にしたものを話すだけの時もあるなど、一見すると気難しそうで、変人扱いをされていたと聞く。
 談春もそのことはよく理解し、厳しい修行覚悟で入門するが、談志は意外と優しく基本的なことはしっかりと手取り足取り教わったそうだ。ちなみに談春は昭和41年生まれ、私と同じバブル世代。この頃の若手は、芸の世界でもビジネス界でも「見て覚えろ、技術は盗んで学べ」が当たり前。だが気難しく思われていた師匠の談志は、思いのほか丁寧な指導だったという。