なぜ、人は都合よく解釈するのか ~生存者バイアスと成約率の関係~

 生存者バイアスという言葉をご存じだろうか。様々な事例で紹介されるが、有名な事例に、第二次世界大戦中の統計学者エイブラハム・ウォールドの「敵の射撃による爆撃機の損失を最小限に抑える方法」についての考察がある。
 当時海軍分析センターは敵の攻撃を受けながらも帰還した爆撃機の損傷状態を調べ、「多くの帰還爆撃機が集中して攻撃を受けた箇所を補強せよ」という指令を出す。しかしウォールドは帰還した爆撃機の損傷の少なかった部分の補強を提案。帰還できなかった爆撃機は、損傷の少ない箇所への被弾が致命的損傷となった可能性が高いと考えたからだ。
 これは、改善すべき真実は、生存した人(声を上げられる人)の声からではなく、その他の人(声を上げられない人)の声に隠されているという考え方。
 営業をやっていると、この「生存者バイアス」に惑わされることが多々ある。
 例えば新規来店客と商談を行い、かなり良い手応えを感じることがある。すると当日や翌日に電話やメール、時には訪問で、検討の進行状況を伺う行動をとる。
 しかし、お客さまからは半ば迷惑そうに冷たい返事が返ってくることがある。