なぜ、人気店のマスターは最後にひと手間かけるのか

 私がたまにお世話になる地元のこじんまりとした和食店。お酒を飲みながら美味しい食事の数々、それは味だけに留まらず見た目にも美しく、さらにはメインの料理に加え、付け合わせの野菜にまで工夫が施されていて丁寧さを実感できる。
 そして最後のデザート。ここでマスターの本気を窺い知ることになる。具体的にはお店の事情もあり細かくお伝えできないが、甘味処でよく目にするある食べ物を、素材の野菜から調理する。普通は既に製品になったものを用意するのだが…。これを私たちが座るカウンター席の向こうで手が空くと作り続けるのだから手間暇かかっているとわかる。
 完成した和食スイーツは当然市販のそれとは違い、味も風味も触感もまるで別物。このひと手間がこの店の価値であり、高い金額でもむしろ安いとさえ感じさせる。
 他の料理にも同じことが窺え、結果として、他の店よりも少々金額が高くても、それでもまた行こうと思うのだ。