高校三年生の頃を思い出してほしい。あの頃数学で習った積分法、微分法の問題が今、目の前に出されたら解くことができるだろうか。恥ずかしながら私は解くことができない。試験に向け猛勉強し、徹夜で覚えた公式も今では頭の中からすっかり消え去っている。
私事ではあるが最近英語の勉強を始めたのだが、中学生で習ったはずの文法も全く覚えていない始末だ。しかし、高校三年生の時の文化祭、体育祭、友達と過ごした日々や恋人と行った場所を思い出してみると不思議と鮮明に覚えている。同じ時期の出来事にもかかわらず記憶に差が出ている。この差は一体何だろうかと考えてみる。それは心に記憶されているということだ。
「心動記憶」というものがある。これは感情的な出来事が記憶に残りやすい現象を指す。楽しい、苦しい、悲しいといった感情が伴う出来事は脳内で記憶と感情が結びつき、優先的に記憶に残りやすく長期的に記憶されることが多い。要するに、数学など感情があまり生まれないものは頭に記憶し、感情が大きい出来事は心に記憶されるのだ。頭で記憶された出来事は時間経過とともに消えていき、心に記憶された出来事は長期的に残るどころか時間経過とともに鮮明さを増していく。
なぜ、あの頃の記憶は鮮明に残っているのか

