なぜ、有名アスリートはいつまでも恩師を敬っているのか

 テレビでアスリートが輝かしい成績を残した際にインタビューが行われているが、その際アスリートの口から恩師の名前が出ることがある。しかし現在所属しているチームの監督やコーチの名前ではなく、以前所属していたチーム、学生時代の監督やコーチの名を出すことも珍しくない。
 バスケットボール日本代表は48年ぶりに自力で五輪出場を決め日本中を感動、熱狂させたことは記憶に新しい。バスケットボール日本代表のキャプテンである富樫勇樹選手は小柄ながらも華麗なパススキルの他、鋭いドリブルからのシュートや3Pシュートなど果敢に得点を獲りに行く選手である。しかし高校時代は周りの選手を引き立てるパスを多用する選手であったが、18歳の時に所属していたチームの監督から「点の取れないチビはいらない」と厳しく指摘され、そこから点を取るポイントガードへと変貌していった。後に国内トップリーグ個人通算4,000得点という偉業を達成させた。現在30歳の富樫選手だが12年前の恩師を今でも慕っている。彼らアスリートの素晴らしいと感じるところは、何年経っても自分の原点がどこにあったかを忘れていないことだ。
 優秀な企業、ビジネスパーソンはよく原点回帰をする。原点回帰は単に初心に帰るというわけではなく、原点と回帰に分けて考えてみると分かり易い。原点は出発点や基準となる点のこと。回帰は周回して元の位置に戻ること。つまり原点回帰の意味は、様々な経験、知識を身に付けてから原点に戻り、また再出発するという意味である。周回している途中に様々な人と出会い、知識や経験を提供してくれる人物が必ずいる。原点回帰は自分のスタート地点がどこだったかを認識しているからこそできることである。