なぜ、私たちは予定外の料理まで注文したのか

 仕事の会食でなじみの和食屋にクライアント先の役員の方々をお連れした。プライベートで来るときは、いつもアラカルトで料理を注文するが、その日はビジネスの会食だったこともあり、あらかじめコース料理をお願いした。
 コース料理だと内容をお店にお任せなので、料理の詳細や食材のトピックスなどが事前にはわからない。そこで一つひとつの料理が提供されるたびに、サーブするアルバイトスタッフが説明を加えてくれる。感心するのはその説明が明確で分かりやすいこと。
 多くの飲食店でよく見るのがアルバイトスタッフの知識不足の露呈だ。刺し盛の魚の種類がわからない、煮物に使われている野菜がどんなものなのかがわかっていない。その食材の他の調理法やそれによる味の違いなど期待できるわけもない。そうなると料理でビジネスの相手をもてなす意味が半減し、会話の話題が一つ減ってしまう。スタッフの知識量により客側の期待感までもが変わってしまう。結果、そのような店には、料理がおいしくても大切なシーンでは使わなくなる。
 逆に商品知識豊富なスタッフがいるお店だと、たとえそれがアルバイトだとしても「あの店なら大丈夫」となる。実際に今回の会食時も、コース料理を注文しているにもかかわらず、提供された食材の違った調理方法による味と食感の違いなどを聞き、俄然食べたい気持ちが湧いてきて、思わず同じ食材を使った別の料理まで注文してしまった。
 そのアルバイトスタッフ、本業は学生だがそれはお客には関係ない。「お店に立っている以上はバイトもお店の人です。だから一通りの知識は教えています」と店主は言う。
 これは自動車業界でも同じことが言える。