なぜ、老人は持っていた花束を少女にあげたのか

 心温まる感動の実話がある。田舎の道を走るバスに一人の老人が大きな花束を大切に抱えながら乗っていた。近くに座っていた少女は老人の持っている花束の美しさに見惚れ、しばらくの間花を眺めていた。
 老人が降りる予定だった停留所にバスが止まった。老人は椅子から立ち上がり出口に向かい歩き始めると少女の前で止まり、持っていた花束を少女の膝の上に置いた。すると老人が少女に話しかけた。「花が好きなんだね。その花束をあなたにあげます。もし、私の妻がここにいたのならばきっと同じことをしたと思います。妻には私から言っておくので。」最初は驚いた少女だが、老人に感謝を伝え花束を受け取った。その後、少女はバスを降りた老人をしばらく目で追っていると、老人は小さな墓地へと向かっていくのが分かった。
 老人は亡くなった妻の墓参りに行くために花束を用意していたが、バスの中で自分が持っている花束を見つめる少女を見て、妻が本当に喜ぶことは何なのかと考えた。きっとその少女を笑顔にさせることが本当に妻に喜んでもらえることだろうと老人は考えたのだ。老人がとった行動は、きっと天国にいる妻も笑顔にしたに違いない。