なぜ、プロデザイナーはよく気が付くのか

 「さすができる営業さんは違うよね。そのブレザー、”ラルフローレン” でしょ?ボタンの絵柄が特徴的だよね。」以前、出会ってまだ2回目というとてもオシャレなお客さまにかけられた言葉だ。私ができる営業だったかどうかは別として確かにその時に着ていたのは、ポロ・ラルフローレンのブレザーだった。しかもそのお客さまは「前回会った時に持っていたバックもラルフローレンのものでしょ。」と。
 そこまで見られていたのか…と、ちょっとした衝撃を受けたことを覚えている。この時私は3~4年目の駆け出し営業のころで、流行っていたデザイナーズブランドやイタリアンカジュアルには目もくれず、トラディショナルファッションに傾倒していた。その私が身に着けているものを見て「トラッド派ですね?」と、私の嗜好を言い当てたのだ。
 やはり自分の好みのものを認めてくれることは嬉しい。一気に目の前のこのお客さまがとても良い人のように思えた(実際良い人だった)瞬間だった。たぶんこの時すでに服やバッグに留まらず、靴や時計、ボールペンに至るまで見られていたに違いない。
 本来であれば、営業の私の方がお客さまの細かいことに気付くべきなのだが、この時ばかりはお客さまに先手を打たれた形になった。それもそのはずで、このオシャレなお客さまは、プロの服飾デザイナーだったのだ。