その店は駅から遠く立地が良いとは言えない場所にある。店構えも今時のモダンなSNS映えとは無縁。昭和的で無骨な町の食堂といった雰囲気さえ漂う、そんな焼き肉屋だ。
だが、その店は何度かメディアでも取り上げられていることもあり、行列が絶えない。過日、行列が絶えないかき氷屋を取り上げたが、こちらも負けず劣らず、多い時には3時間待ちだ。古い焼き肉屋だが、古いのと汚いとでは違うと店主は言う。この店、毎日1時間以上かけて全員で隅から隅まで掃除を行う。この店のこだわりだ。
こだわりと言えば、この店では普通の店ではやらない作業を多くこなす。一般的にかみ切ることの困難なホルモン、その一つひとつににあらかじめ細かく隠し包丁(切れ目)を入れておく。とても面倒な作業。またレバーは食べたときに硬い触感を残してしまう血管や筋を丁寧に取り除く。その結果提供できる部分が極端に少なくなることもある。そもそも面倒くさい作業であるから普通の店ではやらない。それでもここではそれをやる。その面倒くさい作業でお客さまが感動したとまで言ってくれるから。
なぜ、不便な場所の焼き肉屋が流行るのか

