なぜ、温かい言葉は予定外の購入を決断させたのか

 家族の買い物で百貨店に出かけた時の話。同じ売り場に置いてあった少々高価なボールペンをたまたま見つけ、今使っている15年物のそれを思い出し、そろそろ新調しようか…という考えが浮かんだ。そのとき販売員がやってきていろいろ説明をしてくれたのだが、まだ考え始めたばかりだし、今のボールペンは苦労した時代を共に駆け抜けた‟戦友”でもあるなど、そんな思いを話し、もう少し検討したい旨を伝えた。
 その販売員は嫌な顔一つせず聞き届けていただき、さらには今使っているボールペンの無料クリーニングのご提案までしてくれた。そして次の瞬間、自分の中で勝手に購入のための大義名分を付け、思わず新しいボールペンを買ってしまっていた。温かい言葉の効果は大きい。
 そうかと思えば、今日のところは持ち帰って検討しようと思うとき、押し売りみたいにグイグイ迫って来る販売員もいる。お客であるこちらの用途や思い入れなど、バックボーンを理解せず、売りたいがために決断を迫る販売員はいかんともしがたい。中には「今回は買わずに検討する」と言ったとたんに、いきなり手のひらを返したように冷たい態度を取る販売員も多い。引き際のヒトコトはつくづくその人の本性を見せると痛感する。